プログラマー回顧録(9)

~ エンデベッドシステム開発経験を回顧する ~

try and try and …

システムに組み込んだモジュール切り替え機能は優秀だ。

モジュールの妥当性判定、ロールバック機能、トレース機能。

切り替えに必要となる機能は網羅している。

間違いのないモジュールさえ用意すれば安心して切り替えできるのだ。

だがしかし目の前で起こっている現実は切り替え失敗だった。

用意した旧モジュールが妥当ではない、サム値が間違っていると判断されたようだ。

夜勤として出社してすでに12時間が過ぎようとしている。

切り替えモジュールの作成を担当している後輩にも疲労と焦りがあるのだろう。

切り替え失敗の報告を受けた後輩がもう1度、作り直す。

30分ほど経過してまたモジュールが送られてきた。

再度、配信。

そして、切り替える。

「またダメです。」

配信担当者たちもさすがにいらだちがつのる。

「もう失敗はなしにしてくれ。」

こちらもそう願ってはいるのだ。

だが、こちらから誰に電話をしても一向につながらない。

検証室でも切り替えの動作確認はできるのだ。

なぜ切り替えが失敗するモジュールを送ってくるのか?

現場でフォローできないもどかしさを感じながら待つしかなかった。

3回目のモジュールが送られてきた。

失敗だ。

ここでようやく応援が入り、後輩に代わってモジュール作成を熟知した有識者がモジュール作成することになった。

そして、4回目の配信。

「成功しました。」

ついに、ついに旧モジュールで稼働が復帰した。

問題発生の一報を受けてから約7時間後、切り替え前の状態、言えば1年前にリリースしたモジュールで稼働を再開したのである。

これは個人的体験談を元にした回顧録です。企業名、人名などは架空の名称です。
毎週日曜日更新。
随時、加筆、修正を行います。

投稿日2022.03.20更新日2022.03.27