プログラマー回顧録(2)

~ エンデベッドシステム開発経験を回顧する ~

長い一日が始まる

「さあ、いくぞ。」

プロジェクト責任者補佐が声をかける。

まるで自分に言い聞かせているようでもある。

一呼吸して立ち上がる。

時刻は午前9時を過ぎていた。

忙しそうに人々が行き交うなかを潜り抜けるように歩みを進める。

ドーナツ屋を通り過ぎ、しばらくすると目的のビルについた。

1階にはドリンクスタンド。

待ち合わせをする人たち。駅ナカの喧騒感はない。

穏やかな空気を切り裂くように急いでエレベーターに乗り込んだ。

「10階です。」

エレベーターのアナウンスとともに扉が開く。

見覚えのある顔が待ち構えていた。1次請負企業のプロジェクト担当者だ。

「さあ、こちらへ。」

案内された方へと歩みを進める。

ふと右手にドアが開いたままの会議室が目に入る。

「〇〇支店、2台稼働を停めました。」

「△△支店、まだ稼働中です。」

「なにをしている!急いで停めろ!」

会議室から怒声が漏れてくる。

嫌な汗が流れ落ちる。

「まずは復旧を急ぎましょう。」

ふと見ると先ほどの担当者がこちらを見ていた。

少し落ち着きをとりもどし、案内された作業部屋へと入った。

これは個人的体験談を元にした回顧録です。企業名、人名などは架空の名称です。
毎週日曜日更新。
随時、加筆、修正を行います。

投稿日2022.01.30更新日2022.02.12