~ エンデベッドシステム開発経験を回顧する ~
長い一日が始まる
「さあ、いくぞ。」
プロジェクト責任者補佐が声をかける。
まるで自分に言い聞かせているようでもある。
一呼吸して立ち上がる。
時刻は午前9時を過ぎていた。
忙しそうに人々が行き交うなかを潜り抜けるように歩みを進める。
ドーナツ屋を通り過ぎ、しばらくすると目的のビルについた。
1階にはドリンクスタンド。
待ち合わせをする人たち。駅ナカの喧騒感はない。
穏やかな空気を切り裂くように急いでエレベーターに乗り込んだ。
「10階です。」
エレベーターのアナウンスとともに扉が開く。
見覚えのある顔が待ち構えていた。1次請負企業のプロジェクト担当者だ。
「さあ、こちらへ。」
案内された方へと歩みを進める。
ふと右手にドアが開いたままの会議室が目に入る。
「〇〇支店、2台稼働を停めました。」
「△△支店、まだ稼働中です。」
「なにをしている!急いで停めろ!」
会議室から怒声が漏れてくる。
嫌な汗が流れ落ちる。
「まずは復旧を急ぎましょう。」
ふと見ると先ほどの担当者がこちらを見ていた。
少し落ち着きをとりもどし、案内された作業部屋へと入った。
これは個人的体験談を元にした回顧録です。企業名、人名などは架空の名称です。
毎週日曜日更新。
随時、加筆、修正を行います。
投稿日 | 2022.01.30 | 更新日 | 2022.02.12 |