プログラマー回顧録(3)

~ エンデベッドシステム開発経験を回顧する ~

事態を少しずつ紐解いていく

「荷物はこちらに置いてください。」

パイプ椅子と組み立て机が置かれた殺風景な部屋に案内された。

一呼吸置き、1次請負企業のプロジェクト担当者は続ける。

「大変なことがおきています。」

「事態は把握できていますか?」

担当者に問いかけられた。

「詳細まではまだ分かっていません。」

と率直に答える。

ここで俺の立場と今起こっている事態を整理しておこうと思う。

俺はプロジェクトリーダーとして1年スパンのエンデベッドシステム開発を担当していた。

そのシステム開発は1次請負企業が企画した案件であり、2次請負企業が受注している。

2次請負企業は受注案件を2機能に分割、3次請負企業2社へと発注していた。

その1機能の開発が俺たちのチームが受注した案件であり、本企画のメイン機能でもあるのだ。

システム開発は要求仕様をもとに設計から検証までを行い、客先検査を受ける。

もちろん客先検査は2次請負企業が行うものと1次請負企業が行うものがある。

無事に検査に合格すると最終的に現地リリースと安定運用をもって終了となる。

そして、今日が現地リリースの日だったのだ。

俺の一日は前日の21時から始まっていた。

現地リリースとは即ち、現地ですでに稼働している数百台のマシンのプログラムを新しいプログラムに切り替えることだ。

リリース時刻はAM3時。

プログラム切り替えで問題が発生した場合に緊急対応できるよう深夜待機となっていた。

身支度を整え、22時に2次請負企業へと出社。

外注エリアが設けられており、そこで待機となる。

「おはようございます。」

出社するとすでに後輩が待機していた。

これは個人的体験談を元にした回顧録です。企業名、人名などは架空の名称です。
毎週日曜日更新。
随時、加筆、修正を行います。

投稿日2022.02.06更新日2022.02.12