プログラマー回顧録(5)

~ エンデベッドシステム開発経験を回顧する ~

ひとときの休息、そして、崩れ去る平穏

まずはプログラムの切り替えが成功した。

これで1つ目のハードルを越えたわけだ。

あとは実際にユーザーがシステムを使い、正常に稼働するか、だが。

このリリースに向け、幾度となく検証が行われてきた。

よほどのことがないかぎり問題など起こるはずがない。

安定運用の報告を聞いて、9時ぐらいには帰宅できればいいかな、などと予定を立てる。

「今回はとくに暇ですね~。」

後輩が背もたれを倒しながらつぶやく。

初期開発から携わったこのシステム開発も何年目だろうか。

ここ3年ほどは1年スパンでの新機能追加案件を受注しており、

作業もルーティーン化され、慣れがある。

今後の動きもある程度は予想できるのだ。

6時を過ぎた頃だろうか。

突如、プロジェクト担当者に矢継ぎ早に問い合わせがはいった。

急いで外注エリアに駆け込んでくる。

「すみません、この手順でシステムを操作してください。」

俺と後輩は急いで検証室に向かい、指示された通りの操作を行う。

どうやらその手順で操作をするとシステムが反応しなくなるそうだ。

2人で顔を見合わせる。

何も問題がないんだが。

これは個人的体験談を元にした回顧録です。企業名、人名などは架空の名称です。
毎週日曜日更新。
随時、加筆、修正を行います。

投稿日2022.02.20更新日0000.00.00